全日本居合道大会

40回全日本居合道大会出場して

      六段の部出場 高木 志伸

 第40回全日本居合道大会 都道府県対抗優勝試合が平成17年10月15日(土)千葉県千葉ポートアリーナにて行われました。五段,六段,七段の都道府県代表選手がトーナメント方式で対戦し,個人のポイント方式で各段に対戦し,各段の個人のポイント合計が団体の総合成績となります。決勝戦には五段から七段までの全国から集まった284名の公開演武が行われました。決勝戦が終了後,教士八段,範士八段95名,國廣金熊,河村好雄,児島 克の3範士九段の先生方による模範演武が披露されました。
 
 本県からは監督として教士八段宮崎賢太郎,選手として宮崎友彦(七段の部),高木志伸(六段の部),平 禮道(五段の部)の3名が参加しました。全日本居合道大会団体戦の結果は優勝開催の千葉県,2位埼玉県,3位神奈川県でした。個人は五段,六段,七段ともに千葉県の優勝でした。

 本県選手の個人成績は七段の部宮崎友彦選手は1回戦で岩手の軍司俊道選手に対して3−0で勝ちましたが,二回戦で開催県の千葉県興島 宏選手と対戦しし,3−0で敗退しました。内容的には宮崎選手は長身からの抜きつけ,切り付けが冴えてとても良かったが「居合に勝って勝負に負けた」という印象でした。六段の部高木志伸選手はベスト8まで進んだ岡山県佐原雅夫選手に初戦で3−0で惜敗しました。五段の部平 禮道選手は1回戦不戦勝,2回戦から登場しましたが,昨年準優勝の埼玉県柳川 淳選手に惜しくも2−1で敗退しましたが,大健闘といっていいでしょう。強化練習で身に付いた正確な切り付けや納刀の素晴らしさが光っていました。各段ともに全国大会で勝つことの難しさを考えさせられた大会でした。 

全日本居合道大会と稽古の心構え

居合道は古い伝統を受け継いだ武道であるだけに,現在も多くの流派に分かれており,それぞれの道統を守って厳格に行われています。居合道の修錬には,本物の日本刀を使用して稽古をしています。文字通り「真剣」な修業を行い,居合道の道たる所以もまたそこから生まれてきます。刀への礼法,所作,着装や心の持ち方,呼吸の仕方など,今の時代に欠けている日本的礼儀作法等を修業します。全日本居合道大会はその最高峰の大会であるため,長崎県の代表選手として出場するからには恥ずかしくないような稽古が要求されます。

 今年の5月22日(日)行われた長崎県居合道選手権大会で,優勝ないし準優勝した五段から七段の選手が10月15日までの4ヶ月間,毎週土曜日の強化練習会に参加して本大会に臨みました。強化練習会には八段の先生方や七段の先生方が参加され,多くの貴重な指導をいただきました。2時間という短い時間ですが,強化練習で得るものは計り知れないものがあります。今年は代表選手だけによる終日の稽古も純心大学で宮崎賢太郎先生に何度となく行っていただきました。

強化練習は代表選手が島原や佐世保から長崎や大村まで出かけてくるという稽古のため,各自が稽古に対する心構えをしっかりとしなければなりません。また,4ヶ月という長期の稽古会になるため,選手たちは長崎県の代表という自覚を持って全日本居合道大会まで,調整をしていくことが大切です。強化練習の中で指摘されたことを自分の道場に持ち帰って稽古をし,次の稽古会まで自分のものにするということを心がけます。
 居合道道歌に「居合とは己が心に克つばかり 人の非を見て人にさからうな」とあります。教えてもらう代表選手と指導していただいた先生方との気持ちの一体化の結果が全日本居合道大会という最高の舞台で発揮されます。試合の結果がどうあれ,全日本居合道大会に向けて取り組んできた稽古は決して無駄にはならないと思います。私は有り難くも12回出場の機会を頂き,目の前の仮想敵を倒すことのみを強く思いながら全日本居合道大会で一生懸命演武させて頂きました。その中で,全日本居合道大会でしか味わうことのできない緊張感と充実感を感じることができました。そのことを忘れずに道場での稽古に精進していきたいと思っています。それと同時に御指導頂いた先生方への感謝を忘れてはならないと感じています。