佐世保工業高等学校 高木 志伸
達人セミナー「居合道」を受講した久田学園佐世保女子高等学校全校生徒と職員の皆さんと集合写真を撮りました。全校生徒47名の小規模校ですが,明るくて元気,清楚な女子高生は好感度100%でした。 | |
全日本剣道連盟居合8本目(顔面当て)にも挑戦しました。スムーズな刀さばきもできるようになりました。とても熱心に且つ意欲的に取り組みました。 |
1.はじめに
武道達人セミナー「居合道」の講師として9月2日(土),9日(土)久田学園佐世保女子高等学校の全校生徒を対象に佐世保市の県立武道館において「居合道」セミナーを行いました。
久田学園佐世保女子高等学校は佐世保市中心部の小高い場所に位置する全校生徒47名の小規模私立高校です。大規模校にはない,個々の良さを引き出す心配りのある教育をすすめています。特に日本女性のあるべき姿や日本の伝統文化の大切さ,日本人の心を大切にするということを日頃の教育活動に取り入れています。
武道にも積極的に触れるカリキュラムを導入しています。なかでも「なぎなた」「剣道」は選択制で誰でも履修できるようになっています。また,「茶道」「華道」「装道」などにも全校生徒がふれる機会を設けています。
今回の居合道セミナーでは居合道の歴史や立ち振る舞いの「所作」に生徒が実際にふれることで,古来から伝わってきた武道の素晴らしさや日本人としての心の大切さを学ぶことを目的としたものでした。
2.居合道に学ぶ日本の伝統文化
1)講習内容
講習会は佐世保市の長崎県立武道館,剣道場にて行いました。
1日目 平成18年9月2日(土)
全日本剣道連盟居合 1本目(前)
2日目 平成18年9月9日(土)
模範演武を熱心に見ている生徒達です。 | |
「装道」を習っている生徒達は道衣の着装も素晴らしく、座った姿もとても綺麗でした。私達も学ぶところがたくさんありました。 |
居合道は日本刀(初心者は模擬刀)を用いた武道であり、その起源は古く室町時代にまで
さかのぼることができます。武家時代における居合道は武士のたしなみとして 修練されたものですが、現在の居合道は「剣の理法の修練による人間形成の道」すなわち人間修養の道として行われています。
居合道は剣道のように実際に戦う敵がいるのではなく、自らが仮想する敵に対するもので、仮想する敵を仮想敵と呼びます。それらの流派を超えて、居合道には数多くの流派が今日にいたるまで伝えられています。諸流派間の交流を計り、剣道を学ぶ人のためにも、主要な流派の業のエッセンスを集めた全日本剣道連盟居合12本が制定され、昔からの古流と共に学ばれています。
一本目 前 二本目 後 三本目 受け流し 四本目 柄当て
五本目 袈裟切 六本目 諸手突き 七本目 三方切り 八本目 顔面当て
九本目 添手突き 十本目 四方切り 十一本目 総切り 十二本目 抜き打ち
昭和28年8月、敗戦国日本では武道は全面的に禁止されましたが、昭和27年 の講和条約発効に伴い全日本剣道連盟が結成され、昭和29年には全日本居合道 連盟も発足しました。昭和31年には居合道部として全日本剣道連盟の傘下に加 わり、剣道と同様の段位称号制度が取り入れられました。
居合の普及発展と技術の向上に伴い、剣道人にも修練しやすい居合の形を作ろ うという動きが始まり、昭和44年に「全日本剣道連盟居合(制定居合)」が制定 されました。
イ)現存する主要な居合道 諸流派
居合道諸流派(一部)
神夢想林崎流 無双直伝英信流 長谷川英信流
大森流伯耆流 重信流 夢想神伝流 田宮流 無外流 関口流 香取神道流
神道無念流新陰流 水鴎流 警視流 新当流
ウ)日本刀について
(A)日本刀の刃文の種類
講義@ |
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休憩時間も熱心に刀を触って友人と復習をしている生徒達 |
講義A 居合道の居合道修行の目的
居合道修業で最も大切なことは礼儀にあります。神前,恩師,先輩,刀,相互に対しての始礼,終礼です。これを真心こめて行う。これが自然に身につくと,自らの人格も向上することとなります。
居合道は初め一種の刀法として始まりましたが、その目的は精神の鍛錬が第一で、身体の練磨、技術の訓練という順になります。心身の鍛練は剣道と同じですが、その技術は剣道の根本となるものにあります。つまり、刀の運用や礼儀など、すべてが剣居一体のもので、この修業をすることは、自分自身の心身の鍛練、人格向上につながるものです。
技の修業ばかりやって心の修業を怠るならば、深味のある居合道、人格は出来ません。しかし、そうかといって心の修業ばかりしていても技の修業を積まなければ、刀を自由に使うことが不可能になります。立派な居合道をやるためには心の修業と技の修業とが伴わなければなりません。
また,技は正確に大きく強く行うということから,まず「制定居合」を居合の基本技として,時間をかけ修業するようにします。これが正しくできるようになってから「大森流」「英信流」と古流の修業へと進むようにします。
居合道の修業のなかで心がけていることは得ていることは次のようなことです。
@居合道の意義,目的など,本質をよく理解し,それに合った稽古を行う。
A自己の人格の完成を目指し,常に技量の向上を心がける。
B稽古目標を立てて,もっともふさわしい方法により組織的な稽古をする。
C後輩や初心者に対しては,正しい居合道を身につけさせるように留意するととも
に,興味を失わせないようにする。
D日頃から居合道に関する書物を読むなど,居合道に関する研究を怠らない。
E日常生活においても,他の模範となるように努める。
実技C生徒演武 |
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実技C生徒演武 |
3.居合道達人セミナー感想
久田学園佐世保女子高等学校 三年 宮崎 みさ
9月2日・9日(土)長崎県立武道館において佐世保工業高等学校剣道部の指導をされている高木先生に居合道を教えていただきました。居合道はなぎなたと同様で、とても奥が深くて、この二日間だけで覚えることはとても大変なことだと私は思いました。
久田学園にある日本刀と違って高木先生が私たちに借りた刀は大変重く振るのがやっとでした。「居合道というものは静かな中で修練するという事」、を教えていただきました。久田学園では、武道(剣道・なぎなた)・華道・茶道・装道を授業の中でご指導していただいておりますが、あらためて精神を鍛えることは、それぞれの道をすることによって自分自身を内面から変えることができると思いました。
最後に、久田学園の生徒全員で居合道ができ、今回久田学園以外の高校の先生にご指導していただきうれしく思いました。2日間ご指導ありがとうございました。
久田学園佐世保女子高等学校 三年 佐々口 あゆみ
私はこの2日間,事情で少しの時間しか居合道について学べませんでしたが、とても集中していました。高木先生の演武に吸い込まれそうなくらいに大変感動しました。
日本刀を振る(斬る)時の音に驚きました。私が思ったことは集中力と精神力が大切なんだなということです。その二つが高木先生の居合道の演武から感じました。
この2日間で与えてもらったものがあります。それは精神力を鍛えて強くなるということです。全校生徒の練習を見て、「もっと強くならなきゃ、努力しなきゃ」と思いました。この2日間の居合道のことを忘れないで努力して行こうと思います。きっかけを作っていただき大変ありがとうございました。
久田学園佐世保女子高等学校 三年 岩永 浩美
高木先生、三谷先生に優しく、そして分かりやすくご指導していただきました。初めは少し戸惑いがありましたが、練習していくうちに、慣れることができ、また新たに教えていただいた居合もできるようになりました。習得したものは居合だけでなく姿勢・所作もありました。姿勢を正しくするだけで、女性は美しく見え、そして一つ一つの動作を静かに丁寧にすることでも大変変わるということを実感しました。当たり前のことなのでしょうが、実際自分自身がきちんとやれていたとはとても思いませんでした。だから今後、少しでも気をつけたいと思います。居合道の真の目的は、「人を斬るためではなく、いのちの大切さを知るため。」私はそれを聞き「なるほど」と思いました。
今の世の中、いつ誰が人を殺すかなど分からない時代です人・動物を傷つけるという行為、生きているものすべての命は平等であるのです。私たちはそのような事を考える必要があるように思いました。このセミナーを通して少しでもこのようなことを考えることができてよかったと思います。
久田学園佐世保女子高等学校 三年 安永 千比呂
私は、久田学園の授業では「なぎなた」を選択しているので、刀を持つことから初めてでとても新鮮な気持ちで2日間を過ごすことができました。
刀を初めて抜いた時は、なんとか抜けたもののぎこちなく高木先生のように目を閉じていても滑らかに抜いたり、納刀するためには、何年もの修練が必要なんだなと思いました。
居合道を高木先生と三谷先生が優しく,面白く教えてくださったので、楽しく学べました。最後の発表する時には、静寂の中で高木先生の刀を振ったときの音と鳥の鳴き声がとても心地よくて、落ち着いて自分も演武することができました。刀については、刀一振りを作るためには多くの時間と人の力があるからこそ美しいその人に合う刀ができるのだと思いました。
居合道の精神については、「人を斬らずしてできるなら話し合いでおさめよう」という精神が私の今までのイメージと違って素敵なことだと思いました。今日の経験を今後に活かしていきたいです。ありがとうございました。
久田学園佐世保女子高等学校 二年 有川 沙希子
居合道を学んで、他の武道や茶道・華道・装道と通じるものがあるなと思いました。
それは、「礼儀」です。うまく言葉に言い表すことはできませんが、あらゆるものに感謝する心や、相手を重んじるような感じが、どの「道」においても同じだと感じました。2日間学んだ居合道は、とても楽しかったです。刀を鞘から抜いたり、納刀したりするのが大変でしたが、それでも楽しくすることができました。また先生方のご指導もわかりやすかったです。この2日間、とても貴重な体験ができました。また機会があれば、学びたいと思いました。
久田学園佐世保女子高等学校 二年 岩本 梨沙
居合道は、なぎなた、剣道と違い、無言で行うので精神が集中し、とてもやりやすかったです。居合をするときなど、無言のままなのでとても迫力があり圧倒され、目をそらすことができませんでした。なぎなたと剣道とはまた違う魅力がありました。武道場に入ったら「礼」を大切にするという心を日常生活でも役に立てるよう頑張りたいと思いました。
本物の日本刀を見た時、本当にすごいと思いました。ただ刀を上下に動かしただけなのに、ハサミやカッターのようにするどい切れあじだったのですごいと思うと同時に怖いと思いました。遣い方を間違うととても恐ろしいものに変わってしまうのだと思いました。
またこのような機会があったらぜひ参加したいと思います。ありがとうございました。
久田学園佐世保女子高等学校 一年 木下菜美
私は今回あった「居合道達人セミナーで初めて居合道」というものを体験しました。「道」と聞くと、頭に浮かぶのは「剣道」とか「柔道」なので、「居合道」と聞いても、なかなかイメージができませんでした。初日は、実際やってみても難しかったけど居合道という名前からして難しそうな感じがして、私にもできるかなあと心配でした。だけど、セミナーの最初に居合道の先生である高木先生の模範演技を拝見しましたが、とても簡単そうにみえたのはなぜでしょうか?多分、人一倍努力をしてこられたからだと思います。歩くときも座るときも背筋がピンと伸びていて、一心不乱に敵に立ち向かう、その姿がとても格好よかったです。とても、感動しました。そして、実際にその居合道というものを体験してみました。私は木刀だったので鞘柄抜くのも、収める苦労も余りなかったけど、2・3年生をみるとその大変さが伝わってきました。
技の練習にはいると、普段まったく使っていないような筋肉や関節を使ったので、座っている姿勢から膝を立てたときにバランスをとるのが難しくて、一人だけふらふらしていたのが恥ずかしかったです。
2日目は、初日の復習と新しい技術を2つ習いました。この2日間で頑張って練習したものをみんなの前で披露しました。人前だったので、すごく緊張しましたが、最後まで頑張ってやりとうすことができました。2日間という短い練習期間しかなかったけど、その中でもやっぱり3年生はどこか違って、最後の披露ではみんなとても上手で、やっぱり3年生だなあと思いました。また、機会があったら、居合道をやりたいなあと思っています。