□■全日本剣道連盟居合<制定>■□
昭和28年8月、敗戦国日本では武道は全面的に禁止されましたが、昭和27年の講和条約発効に伴い全日本剣道連盟が結成され、昭和29年には全日本居合道連盟も発足しました。昭和31年には居合道部として全日本剣道連盟の傘下に加わり、剣道と同様の段位称号制度が取り入れられました。
居合の普及発展と技術の向上に伴い、剣道人にも修練しやすい居合の形を作ろうという動きが始まり、昭和44年に「全日本剣道連盟居合(制定居合)」が制定されました。
全日本剣道連盟制定居合(昭和44年制定、昭和63年改正)
○作法
携刀姿勢で出場し、神座への礼を行う。
演武の方向に位置し、始めの刀礼を行って帯刀し、演武に移る。
演武を終え終え、終わりの刀礼を行い、再び神座の礼を行って退場する。
○術技
正座の部
一本目 前(まえ)
対座している敵の殺気を感じ、機先を制して「こめかみ」に抜きつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。
二本目 後(うしろ)
背後に座っている敵の殺気を感じ、機先を制して「こめかみ」に抜きつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。
三本目 受流(うけながし)
左横に座っていた敵が、突然立って切り下ろしてくるのを「鎬」で受け流し、さらに袈裟に切り下ろして勝つ。
居合膝の部
四本目 柄当(つかあて)
前後に座っている二人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の「水月」に「柄頭」を当て、続いて後ろの敵の「水月」を突き刺し、さらに正面の敵の真っ向から切り下ろして勝つ。
立居合の部
五本目 袈裟切(けさぎり)
前進中、前の敵が刀を振りかぶって切りかかろうとするのを逆袈裟に切り上げ、さらに返す刀で袈裟に切り下ろして勝つ。
六本目 諸手突(もろてづき)
前進中、前後三人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の右斜め面に抜き打ちし、さらに諸手で水月を突き刺す。次に後ろの敵を真っ向から切り下ろす。続いて正面から来る他の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。
七本目 三方切(さんぽうぎり)
前進中、正面と左右三方の敵の殺気を感じ、まず右の敵の頭上に抜き打ちし、次ぎに左の敵を真っ向から切り下ろし、続いて正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。
八本目 顔面当(がんめんあて)
前進中、前後二人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の顔面に「柄当て」し、続いて後ろの敵の「水月」を突き刺し、さらに正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。
九本目 添手突(そえてづき)
前進中、左の敵の殺気を感じ、機先を制して右袈裟に向き打ちし、さらに腹部を添え手で突き刺して勝つ。
十本目 四方切(しほうぎり)
前進中、四方の敵の殺気を感じ、機先を制してまず刀を抜こうとする右斜め前の敵の右こぶしに「柄当て」し、次ぎに左斜め後ろの敵の「水月」を突き刺し、さらに右斜め前の敵、そして左斜め前の敵をそれぞれ真っ向から切り下ろして勝つ。
十一本目 総切り
前進中、前方の敵の殺気を感じ機先を制してまず敵の左斜め面を次に右肩をさらに左胴を切り下ろし続いて腰腹部を水平に切り、そして真っ向から切り下ろして勝つ。
十二本目 抜き打ち
相対して直立している前方の敵が突然切りかかって来るのを刀を抜き上げながら退いて敵の刀に空を切らせ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ