「引き続き会長をお引き受けして」         

(財)長崎県剣道連盟会長 三原 茂
  「剣報長崎」第23号 平成18年7月 より

今年は役員改選の年であります。あらかじめ地域や職域団体から提出された一部の異動はありましたが、先日開催されました本年度第1回の理事会・評議員会におきまして、現執行部の再任が決定されました。引き続き重要課題の解決に取組めとの付託であると受け止め、その責任の重さに改めて身の引締まる思いであります。

 平成16年に、会長に選出されました折、私は剣連の運営理念として、開かれた剣連の運営と社会常識が通用する協会の育成、ということをかかげました。ごく当たり前のことを言葉にしたに過ぎませんが、会員の間に次第に浸透し、一般にも、意図するところが理解しやすく親しみをもって迎えられて来たことを実感しております。

今後も初心を忘れることなく、この理念を実践してゆきたいと願っております。常に、会員の声に耳を傾け、市民、県民の期待に応えられるような剣道連盟でありたいと念願しております。

 以下、課題の2、3について述べてみます。

 

(1)               財政の健全化

財政の健全化は、かねての念願でありました。そのためには、個人会費を徴収するほかはないという極当たり前の結論を総務委員会で決定しました。16年度・17年度は、それをどの様な方法で実現するかということで模索しましたが、会員一人ひとりの理解と協力以外にはありません。

各団体の事務局長を煩わせることになりました。会員の再調査、移動者の確認、生徒や学生の取扱い、高齢者の処遇、活動休止中の会員の問題など、問題点は限りなく広がってゆくように思われました。しかし、兎にも角にも昨年度は、各団体のご努力のお陰で、単年度収支決算は黒字で締め括ることができました。

しかしこれは単年度で終る問題ではありません。今後は、確実性、永続性をたかめるために様々な工夫が必要であります。例えば、終身番号制などの導入で会員の全容を知ることなどが必要になるかも知れません。理事・評議委員会と共に、事務局長会の役割が大きくなると思われますので、今後は、恒常的な開催を考えております。

(2)               組織の見直し

これも永い間懸案となっている問題であります。時代や社会の変遷に準じた組織の改革があって然るべきでしょう。平成の大合併といわれた市町村の合併劇も、先頃ひとまず終りました。これでどのような成果があるのでしょうか。短期間での評価を下し難いのは当然です。

また、この合併が剣連組織の見直しにどのような影響を及ぼすのか、これも未だ予測はできません。既に、五島市や雲仙市などでは協会組織の枠組み見直しが進んでいると聞いております。是非、問題点を提示して頂き、ご教示を頂きたいと思っております。

伝統ある組織団体が多い長崎地域では、再編の見直しも容易ではありません。昨年度、私は長崎市剣道協会会長の立場で関係者の方々にお集まり頂き、話題を落としてみましたが、各団体の意見が披露されたにとどまっています。今後どのようなあり方が望ましいのか、論議を尽くす必要がありましょう。

誰が言った言葉か正確ではありませんが、「小異を捨てて(・・・)大同につく」ではなくて、「小異を残して(・・・)大同につく」という解決策があるのかも知れません。いずれにしましても組織検討推進委員会を早急に設置し、剣連案なるものを提示する必要があると総務委員会で決定いたしました。

(3)               専門委員会の活躍

16年度・17年度の専門委員会の活動を見ますと、優に剣連運営の牽引力となったと評価しています。各委員会とも手応えのある成果を残しましたが、本年度の計画・抱負については本号において紹介されております。

16年度にお諮りをして新設した国際委員会も動き始めております。以前から居合道部の方々の活躍は知られておりましたが、今後は剣連と協同して、という形を考えてもよいのではないかと思っています。居合道・杖道について国際的に関心の高いことは両道の未来に一層明るいものがあるように感じられます。また、この様な事を契機に、私共が伝統文化である剣道というものを歴史から学び直すということは重要なことと思います。勝った、負けたと、徒らに勝負にこだわっているうちに、武道精神を立派に身につけた外国人剣士が現れないとは限らないと思います。

全剣連からの派遣でありましたが、馬場理事長がイタリアのナポリで開催された親善武道大会に参加されたことは、今後の国際親善のために大きな役割を果たされたと思っています。また韓国少年剣士団との交流は、派遣ルートの明確化と受入窓口の問題を整理する必要があると考えています。

更に、広報小委員会の活躍も目を引きます。「剣報長崎」は、他県剣連の垂涎(すいえん)の的となっていることを最近知りました。「剣報長崎」は、長崎剣連の会員のためのものであります。もっと多くの会員の購読と投稿を期待したいものです。

以上、私共が取組んできた2、3課題について、現況や問題点について述べましたが、その一端に過ぎないと思っています。すべての会員に剣連のあるべき姿を一緒に考えて頂き、より立派な連盟に向け、更に努力いたしたいと思っています。引き続き、会員の皆様方の御指導御鞭撻をお願い申し上げ、会長再任のご挨拶とさせて頂きます。有難うございました。