走って練習に行く姿勢
西陵高校 片山倉則
先日、西陵で県の図書会議が行われました。その席に若い頃一緒に試合に出ていた剣道の先生(現・小学校校長、剣道七段)が見えられていました。 会議が終わって私への挨拶も兼ねて剣道部の様子を見に来られたのですが、まだホームルームが終わったばかりで部員が来ていません。しばらく道場の前で立ち話をしていました。すると剣道部員が教室からダダダーと走ってきて、とてつもなく大きな声で挨拶して、道場へ駆け込んで行きます。
「道場の中に入って練習を見ていきませんか?」と私がうながすと、「いや、これだけで十分ですよ。西陵の剣道部が強くなる理由が分かりました!」と言われて練習を見ることもなく帰っていかれました。
少しでも早く行って練習しようという前向きな姿勢には、時間の短縮にとどまらず、その後の本練習に与える効果は計り知れないものがある。そのことを察知されて帰られた先生はやはり「ただ者ではない」と感じました。
ちょうど、一週間後、法事で五島の実家に帰りました。久し振りに兄弟達と会って、子供の頃の辛かった野良仕事の話に花が咲きました。一様に「あの頃に比べれば今は楽だねー。」と話したことでした。そんな話の中で「倉則君は稽古の時間が来ると畑から走って練習に行きよったね!あの姿は今でも忘れられないよ!」と姉が懐かしそうに話してくれました。私は今、西陵の部員が走って練習に行く姿と自分の子供の頃を重ね合わせて、ただただ嬉しく思うばかりです。
何かのお役に立てれば・・・
西陵高校 片山倉則
六月十七日、全日本県予選が西陵で行われました。開会式は十時からだったのですが、部員は早朝七時半から会場設営で机を並べたり、ラインを引いたり、衝立や審判旗などの準備に走り回り、一日中補助役員として手伝いました。同じように剣道部の保護者も早朝から体育館のギャラリー、トイレ、階段、玄関、窓のサンなど普段生徒が気づかない所まで掃除をしてくれました。もちろん一日中お茶出しや弁当の世話、駐車場の誘導、後片づけまでしていただいたことは言うまでもありません。
「会場校は大変ですね!」と何人かの方から言われましたが、高体連の行事は当事者で持ち回りですから仕方ないとしても、剣道連盟の大会の会場となると誰もが敬遠しがちです。「そういう行事にかかわるより、自分のチームを遠征に連れて行って強くした方がまし・・・」という声を聞いたりもします。
私は「県の剣道普及のために西陵が何かのお役に立てれば嬉しいことです。」と応えることにしています。自分のチームしか見えない者はあまりに狭量だと思うからです。人の役に立ってこそ剣道は生かされるのです。保護者の皆様も私についてくるのは大変でしょうが、その協力してくれる姿こそが子供達に良い教育力となっています。
大会の結果は男子は県警機動隊が上位を独占し、女子は私の教え子達が上位五位を独占しました。高校を卒業してからも活躍してくれる教え子達と協力してくれる西陵高校剣道部関係者を誇らしく思える一日でした。