「生徒との根比べ」         

長崎県立西陵高等学校 剣道教士八段 片山 倉則
 

 「剣報長崎」第27号 平成19年3月 より

 中地区新人、県新人、学年別個人戦など西陵は上位進出ならず低迷を続けています。新チームになってからはほとんど結果を残せていません。原因は身体能力が低い、元気がない、精神力が弱い、病気や怪我が多いなど上げればきりがありませんが、特に足腰の弱さが指摘されるところです。

   正月に休みを三日与えました。休みと言うより「自主トレ」という形で「走り込め!」と言い渡して・・・。休みがあけて、三日間でどれだけ走ったか聞いてみました。半分の者が全然走っていません。走った者でも三日間合わせて十キロ以上走った者は皆無でした。つまり自覚が足らず、努力の量も足らないのです。二週間後には全国選抜県予選があるというのにこの情けない有様でしたから、結果はすでに見えていました。ズタズタでした。

  どうにかしなければと思い、素振りや基本打ちからやり直して、先日、県外遠征に連れて行きましたが、またボコボコにされて帰ってきました。遠征や試合から帰って来ると必ず道場で反省会。翌日には剣道ノートを提出させて自分自身を振り返らせています。しかし、なかなか成果は出てきません。

  家に帰って、「どうにもならん!」と肩を落として愚痴を言うと、家内から「どうにもならないのをどうにかするのがあなたの仕事でしょ!」と言われる始末。「素人のお前に何が分かるか」と思いつつ、「それもそうだな!すぐに結果が出るなら指導者はいらんか」と思い直してまた道場に立つ・・・。

 こんな事を何年続けてきたことだろうか。思い返せば、指導者とは「生徒との根気比べ」ではないかと思えてくる。「諦めないこと、続けること。苦しい時は誰にでもある。」そう思いつつ今日も木刀を振り続けています。


       
苦しい時は誰にでもある

          たとえ失敗の連続でも その受け止め方次第で

          人生が変わっていく・・・・

          失敗に悩み 苦しむ時は誰にでもあるけれど

          苦しみに耐えて 人は大きくなっていく・・

          苦しいからやめてしまうのは簡単なこと。

          でも、やめたらすべてゼロになる。

          大切なことは、ヘタでも微力でも続けること。

          ガケもまた道と思って歩けば、突然ポンと視界

          が開ける瞬間がある。

          いつもそんなふうに勇気づけて生きて行くのです。