夢想神伝流「流刀」

平成25年度 全剣連居合道中央講習会
に伴う伝達講習会の報告


平成25年9月22日(日)長崎県立武道館(佐世保)において、恒例の平成25年度全剣連居合道中央講習会に伴う伝達講習会が開催されました。平成25年9月7日、8日に京都市武道センターにおいて開催された全剣連主催中央講習会に派遣された宮崎賢太郎範士八段から午前9:30より12:00まで講義、実技の解説があり、午後は13:00から16:00まで午前中の実技講習会を約1時間と講習会に基づき各段に別れ、模擬試合を含めた居合道審判講習がありました。講習会終了後に一級審査が行われ、3名が受審して全員が合格しました。  

参加者は段外7名、初段4名、二段4名、三段10名、四段7名、五段5名、六段11名、七段11名、八段1名の合計60名でした。午後からの居合道審判講習会では、初段から五段まで2人ずつ対戦する模擬試合を行いながら審判講習会が行われました。審判には六段11名、七段11名が6班に分かれて、真剣に審判実技講習を受講しました。平成25年10月6日(日)に長崎県立武道館(佐世保)において開催される秋の昇段審査会を前に、受審予定者は例年に比べいっそう高い意識を持って講習会に臨んでいました。 

(編集:居合道委員 高木 志伸)

恒例の居合道部集合写真です。伝達講習会には60名の居合道剣士が県内から集まりました。

 講習会を前に挨拶をする宮崎賢太郎講師


伝達内容を聞き漏らさないように熱心聞き入る受講者


実技を分かり易く説明する宮崎賢太郎講師


開会式は段別に整列をしています。



実技演武も真剣に取り組んでいました。


段外の受講者は小学生から高齢の方まで幅広い年齢層です


一級審査の姿勢がとても良いですね。


模擬試合も真剣そのものです。





中央講習会伝達講習会での重点項目

「指導要点」

1.作法(礼法)

  ◎ 終りの刀礼      

  ● 脱刀

  「刀をわずか右前に引き出しながら」とあるのに刀を右前に出し過ぎる人がいる。

  ● 刀のとり方

   刀を止めることなくいったん静かに正面中央に立てるとき(45度くらいに立て      ながら)という取り決めはない。

  ● 下げ緒捌き

   下げ緒捌きは各流派の流儀にならって任意である。

   ※(居合道八段審査)の二次審査「古流」の作法(礼法)は、全剣連居合の作法(礼法)である。

2.二本目「後ろ」

  @ 両つま先の立て方は錬度によって(一本目「前」も同様)。

  A 敵は真後ろではなく、わずかに正面左寄り。

  B 左足をやや左寄りに踏み込むと同時に抜きつける。

   (踏み込む程度は、後ろの敵に正体する範囲まで)

3.三本目「受け流し」

  @ 左足を右膝の内側に足先をやや外側に向けて踏み込む。

  A そのとき左足先は右膝頭と揃うくらいに。

  B 受け流したとき、両足は「イ」の字のような形になるように。

  C 受け流して袈裟に切り下ろすまでの流れは、受け流しをきちんと決め、剣先を振り回さないで、そして「刀を止めることなく」一連の動き(流れ)となるように。

  D「抜き上げ」とは、剣先が鯉口から離れる前までの動作をいう。

  E 剣先は右足を「イ」の字のような形に踏み込んだときに、鯉口から離れる。

  F この時、体は左正面を向いている。

4.四本目「柄当て」

  @ 居合膝から腰を上げたとき、左足のつま先を左膝の真後ろに立てる。

  A 後ろの敵を突き刺した後、正面の敵に振り向き、刀を引き抜きながらの振りかぶり方は、左膝を軸に左足先を元にもどすと、このとき腰は敵に正体するので、刀は自然に抜けて振りかぶることができる。

    (あらためて引き抜く動作はしない)

5.五本目「袈裟切り」

  @ 敵の右脇腹から逆袈裟に切り上げた剣先が、敵の左肩口から抜けないうちに刀を返す人が多い。

  A 剣先が敵の左肩口を切り抜けてから刀を返す。

                                                                                                                                                                                                                      6.六本目「諸手突き」

  @「中段におろす」とは、左手の位置は自分のへそ前、約ひと握りのところとし、剣先は敵の喉の高さにつけるということ。

  A 中段からの突きは、間をおくことなく一連の動きで。

  B「刀を引き抜きながら」という動作は、あらためてしなくても、剣先を突いた水月

    の位置から下げないで、柄頭から頭上に振りかぶれば、自然に「引き抜きながら」

     となる。

  C 三人の敵はほぼ同一線上に立つ。

  D 向き直るとき左足を左へ踏みかえる。

  E 「刀を引き抜きながら」は、腰の回転と共に「受け流しに」という動作が加わる。

F     受け流しに頭上に振りかぶるとき、柄頭から先に上がるようにする。

 ※踏みかえについて

  六本目、八本目、十本目の踏みかえはそれぞれ異なる。敵の立つ位置がそれぞれ微妙に異なるから、それに応じて踏みかえの程度も異なってくる。

  六本目(諸手突き)三人の敵はほぼ同一線上に立つ

  八本目(顔面当て)後方の敵はほぼ身一つ左に立つ

  十本目(四方切り)四人の敵は四方に立つ(別途詳説する)

7.七本目「三方切り」

 @「敵を圧しながら」とは気攻めであるから、正面に向ってあまり刀を抜き出さない     

ように。

 A右の敵の頭上からあごまで抜き打ちするとき、剣先で上から下へ円を描くような抜    

き方をしないように。

8.八本目「顔面当て」

 @右足を軸に左回りに回って左足を左に踏みかえると、後ろの敵の位置は身一つ左へ

  ずれる。

 A後ろの敵の水月を突き刺すとき、「刀を水平にして右上腰に当てた右こぶしは、左手

  を後方へ強く引く力を伴いつつ、手のうちを締めながら切っ先を正体した自分の正中

線に向けて突き出す。

  (刺突後の剣先の位置は水月に、右こぶしは切っ先よりわずかに下げ、そして右体

   側よりやや内側に)

9.九本目「添え手突き」

 @血振りが他の「横血振り」と異なる点は、刃先の向きにそって「右に開いての血振り」

で、血振りをしたとき、右こぶしの位置は右斜め前方にあって、その高さは左

  手と水平にしない。

10.十本目「四方切り」

  @ 一重身について

  (ア)一重身になる理由

     柄の平で、右斜め前の敵の右こぶしを正体して打った体勢から、左斜め後ろの

敵の水月を突き刺すためには、左足をわずか斜め左へ捌いた体制で、一重身にならざるを得ない。

  (イ)一重身の状態(体勢)

     一重身は、「右斜め前の敵と左斜め後ろの敵に対する身構え」で、両足は逆さ(ハ

     の字)のような形となり、ほぼ真横に開いた状態(体勢)。このとき体は4人目(左斜め前)の敵に対してほぼ正体する。突く時は、右足先を左斜め前に向ける。

   A 4人目の後ろ(左斜め前)の敵に対して「脇構えにとる」ではなく「脇構えになりがら」という−連の動作に留意する。

11.十一本目「総切り」

 @刀を受け流しに頭上に振りかぶるとき、左足をわずか後方に退いてもよい。

 A刀の抜き出し方は「差しなり」である。

 B正面の敵の腰腹部を水平に切るとき、正体した自分の左上腰に刀を水平にして、正

  面の敵の右腰腹部から左腰腹部を(およそ180度まで)水平に切る。

12.十二本目「抜き打ち」

 刀を頭上へ抜き上げるとき、右こぶしは自分の体の正中線にそって身近くを通り、身

  幅より外へ出ないように。