夢想神伝流「流刀」

全剣連招聘平成24年度居合道特別講習会報告

 (広報委員 高木志伸 取材:編集)

平成25年3月2日(土)、3日(日)の両日,長崎市立川平小学校体育館において、平成24度居合
道特別講習会が開催されました。(財)全日本剣道連盟居合道委員の河口俊彦居合道範士八段
を招聘しての講習会でした。本講習会は毎年、全日本剣道連盟より居合道委員を招聘しています
。本年の講習会も例年以上にとても意義のあるものとなりました。

参加者

第1日目 3月2日(土)、第2日目 3月3日(日)

 

段外

初段

二段

三段

四段

五段

六段

七段

八段

3月2日(土)

 1

 3

 6

 6

 5

 7

 5

 9

 1

43

3月3日(日)

 1

 2

 5

 6

 4

 7

 7

10

 1

43

(のべ人数)計

 2

 5

11

12

9

14

12

19

 2

86

講習内容

第1日目 3月2日(土)

13:20〜13:40 ストレッチ・柔軟体操(県居合道部)

13:20〜13:40 開講会式・記念撮影

13:40〜14:10 講義(心と心が通う稽古・碎{同時)

14:15〜14:35基本動作 居合刀(鞘引き・抜き付け)

14:35〜15:00 木刀を使用した基本動作(素振り・股割り・足裁き)

15:00〜15:45 木刀による剣道基本技稽古法

15:50〜16:10 居合刀による剣道基本技稽古法(掛かり手のみ)

16:10〜16:30 全日本剣道連盟居合(実技演武)

 

第2日目 3月3日(日)

9:20〜 9:40 ストレッチ・柔軟(腰痛体操 等)(河口先生指導)

9:40〜10:00居合刀による剣道基本技稽古法(掛かり手のみ)・基本動作(素振り)

10:00〜10:40木刀による日本剣道形(剣道経験者約半数以上が参加)

10:50〜12:00全日本剣道連盟居合8本まで(解説・実技指導)段別 全体指導

12:00〜13:00 昼食

13:00〜13:20全日本剣道連盟居合12本まで(解説・実技指導)段別 全体指導

13:20〜14:10全日本剣道連盟居合段別指導(七段から演武 実技指導)

14:10〜15:10全日本剣道連盟居合段別指導(七段模範 初段から段別実技指導)

15:10〜15:30 全日本剣道連盟居合 審判指導(七段審判 五段模擬試合)

 
 居合道部恒例の集合写真は河口俊彦範士・三原 茂 県連会長を囲んでの撮影です。

 
 開会式:講習会には対馬など県内各地から参加しました。
 
 講義内容を聞き洩らさないようにメモをとる講習会参加者。キーワード「敵のいる居合」
 
 三原茂会長から挨拶をいただきました。左から宮崎部長・河口講師・三原会長
 
 木刀による剣道基本技稽古法:相手への攻め、気魄、間合いを居合道に取り入れる。
 
 全日本剣道連盟居合12本「抜き打ち」の想定を実技指導する。河口俊彦範士
 
 全日本剣道連盟居合段別指導で六段受講者の抜きつけを指導する河口俊彦範士
 
 全日本剣道連盟居合段別指導は七段の先生方が模範を示した後に初段から六段まで段別実技指導が行われました
 
 長崎県剣道祭優勝者と準優勝者剣道形演武 
岩男 徹史 居合道六段(剣道五段)
山領伊都子 居合道二段(剣道五段)

特別居合道講習会報告・感想

 
 葉遊会(佐世保) 山領伊都子


「心と心が通う稽古」
  

葉遊会(佐世保) 山領伊都子

今回、私は居合道、剣道の行事が重なりましたが、(財)全日本剣道連盟居合道委員の河口俊彦居合道範士八段を招聘しての講習会ということで、昨年からとても心待ちにしていた本講習会に参加することにしました。

1日目、三原茂(財)長崎県剣道連盟会長に御挨拶をいただき、ストレッチも参加いただきました。次に講話と木刀による剣道形基本法の実技がありました。
 河口俊彦先生は、居合道範士八段で剣道教士七段です。居合道の他に、少年剣道も指導されているということでした。講話のなかで、全日本剣道連盟60周年の話から、中学で剣道を導入するよう文部科学省から依頼を受けたのは、他のスポーツではなく「武道を通じて人の道」をまた「日本人らしさ」を教えて欲しいということでした。


 次に、小野田 寛郎さんのフィリピンの戦場での体験談を話されました。小野田 寛郎さんは、アメリカ人と互いに銃口を向けあい、一瞬、いつもは、赤に見えるのにこの時だけは、白いものが鳩尾(みぞおち)めがけてとんできたと思って、反射的に防ぎ、薬指は貫通したが、銃把にあたり命拾いをしたそうです。小野田 寛郎さんは、剣道五段で、「その道場の先生は、道場は身のこなしを訓練するところじゃ」と言われたそうです。また、その道場の先生は「剣は義をあらわす」と話されていたそうです。いかにこの方は、真剣に稽古に取り組まれていたのかと思いました。
 河口俊彦先生の話の中で1番心を打たれたことは、言うことを聞かない子どもを怒り心頭で怒ってしまい「やりすぎたかな、明日来てくれるといいが」と眠れなかったが、次の稽古にその子は真っ先にきてくれた。「親に言ったか?」と聞くと、「僕が悪かった」といったから、「先生も悪かった」といった。そして「玄関のカギを開けてくれ」と言ってその後に稽古をしたことがあったけれど、その子は後にキャプテンになり、年に1度の町内の大会で優勝したそうです。「碎啄同時」という言葉がありますが、雛鳥が卵の殻を中から、出たい、出たいと突つつき、外から親鳥が出ておいで出ておいでと、突つくように、師弟の働きが合致することです。心が繋がっていれば、体罰、パワハラとか、セクハラと訴えられることもない。「心と心が通う稽古」をしてまいりましょう。というお話に感動のあまり思わず涙がでてきました。

その後、木刀による剣道基本技稽古法を受講者全員が2人組で行いました。河口俊彦先生が掛かり手、高木志伸先生が元立ちで手本をした後に実技と裏表交互に9本目まで行いました。剣道をやっていない初めての方も半分くらいいたと思いましたが、皆さん真剣で、私は覚えるのに2週間くらいかかったのに、直ぐに打てるようになり、素晴らしいと思いました。剣道の講習会のようですが、仮想敵に届くよう、1足1刀から物打ちで斬るとそこに間合いや間や溜めができてくるということを話されました。
 2日目、ストレッチを教えてくださった後、「日本剣道形ができる人は中央へ」と言われ、居合道講習会参加の半分近くの方が剣道もされる方がいました。あらためて「剣居一体」を感じました。日本剣道形での留意点は2本目を仕太刀が溜めて、小手を打つことの大切さと師弟関係をしっかりと持つこと弟子は師よりも先に動かないこと。7本目のお互いの突いたあとの高さが高くなりすぎないことや目付など、いくつか助言がありました。

その後、長崎県下剣道祭での日本剣道形優勝者と準優勝者が居合道講習会に参加しているということで、岩男徹史居合道六段(剣道五段)山領伊都子居合道二段(剣道五段)が座礼から行いました。私は突然の指名に戸惑い、驚きました。

河口俊彦先生や、剣道教士八段の榊 暢勇先生(居合道教士七段)、その他剣道教士七段の先生方もおられる前で、とても恐縮でした。初めて立ち会いの演武をする岩男徹史先生との日本剣道形でしたが、相手を信じたて演武することで安心してできました。理合のある、美しい形をと思って演武しました。河口俊彦先生と皆さんから、拍手をいただき、剣道何段ですか?と聞かれました。榊 暢勇先生から「急に指名されたのに、よく間違わずに打てたね。」と笑顔でお声をかけていただきました。少し硬くなっていましたが、事なきを得たのも、佐世保剣道協会の先生方に日本剣道形を常日頃から御指導頂いているおかげと、感謝いたしました。この講習会で「剣道も居合も剣居一体、日本剣道形が大事だよ」と教えてくださった気がしました。

次に、講習会では実際に刀を握っての、制定居合12本を「いち、に、さーん、し、ご・・・」と声を大きく出し、息を吐きながら抜きました。呼吸法と気剣体一致の練習でした。居合道七段の先生方が前に出て「初段のように、抜いてみせてください」と言われ、七段の先生方にとってはとても難しいようでした。「初段の人には、初段の手本を、元気に1つ1つキチッ、キチッとしてみせてください。この段は、これ位は打ってほしい」と号令をかけながら手本をしてみせながら指導にあたるようにと話されました。

初心者も、高段者もまた指導者をも、育て伝えたいという心を深く感じました。最後に模擬試合を2組して審判講習までしてくださいました。「勝負あり」1呼吸おいて審判旗を下ろすなど、留意点を押さえて審査していくところなど、審判も命がけだと思いました。終わりの挨拶で河口俊彦先生は「心をあらわし、血の通った、臨場感溢れる、気迫ある居合を演武してください。計画していたことは全部伝えました。」と微笑んで話されました。まさに、剣道、居合一体の武士であり、普及、伝承にきてくださった日本人だと感じ、心のこもった講習会でした。私も更に努力したいと思いました。また、私が川平小の体育館を出るとき、男女の遊道会の方が、「日本剣道形を習いたいです。」と言ってくださり、前向きな姿勢にこちらが、心うたれました。今回、講習会に参加できたこと、河口俊彦先生に出逢えたことに感謝し、先生の真心を感じ、とても幸せな2日間でした。河口俊彦先生、お世話くださった長崎県の先生方、有難うございました。近い将来、また、ご指導いただけることを祈念し、全部は、伝えられませんでしたが、報告と感想とさせていただきます。

 

友剣会(島原)宮崎フサ子


 
「急がば回れ!」の稽古 

 平成25年3月2日(土)・3日(日) 特別居合道講習会に山口県から全日本剣道連盟居合道委員、範士八段、河口俊彦先生に御指導に来て頂きました。

 私が講習会に参加して思ったことは、木刀による剣道基本技稽古法でした。初めは何も出来ず稽古について行けなかったのが、やっているうちにメン・コテ・ドウが相手に届かなかったのが、届くように成ってきました。それは、私がどうしても出来なかった後ろ足の引き付け(送り足)がいつの間にか出来ていたことに気づきました。それに、切り付けした時の体の振れ、抜き付けた時の手首と腕の振り(体捌き)、即ち、気・剣・体の一致が感覚でつかめたような気がしました。また、居合で一番大事な目付・敵の想定が木刀を振り下ろした時に目の前に相手がいることで、きちんと敵を想定することが出来ました。

 いつも何気なく刀を振っている自分に「敵がいないから、敵を作れ」といつも言われていたのが理解出来たような気がしました。稽古も、「急がば回れ!」と言う稽古法なのかと思いました。

 初心者の私には、講習会の奥の深い稽古会は難しくて解らないことが多くありましたが一つ一つが意義のある稽古会でした。

 また、講習会に行くといろいろな高段者の先生方からのアドバイスを受けることが出来て、とても勉強になりました。これからも、出来る限り講習会に参加して、一生懸命精進していきたいと思っていますので、皆様のご指導を宜しくお願い致します。


「気・剣・体の一致」

 
 生武館(大村) 中野武士

私が居合道を始めたばかりの頃、道場の先輩より全剣連居合の本を頂きました。その本に、お若い頃の河口俊彦範士が演武のモデルとして掲載されておられたので、以前より存じ上げておりました。その為、今回の特別講習会で実際にお会いするのをとても楽しみにしておりました。

初日は木刀による剣道基本技稽古法の実技講習でした。実際に相手を前にしての形稽古でした。相手がいる事により、居合では掴み辛い間合いや間の取り方を学びました。

この剣道基本稽古法をみっちりご指導いただいた後に、全剣連居合12本を通して抜いてみると、いつもとは違う感覚で抜く事が出来ました。

二日目で印象に残ったのは、一本目「前」を抜く時の呼吸法のご指導でした。「いちぃーにぃー・・・」と息を少しずつ吐きながら抜く事により、気の入った演武になる事を学んだ事です。実際にやってみると、何回やっても7か8ぐらいで息が苦しくなりキチンと最後までやれませんでした。また、段別に分かれての全剣連居合の指導では、各段のレベルに応じた指導を頂きました。ここでは指導を受ける私たちだけでなく、指導にあたる七段の先生方にも指導をするポイントを教えておられたように感じました。特に一本目の「前」に力を入れて指導してくださり、初段・二段では基本に忠実に気・剣・体の一致を心がけるようにとの事でした。抜きつけの際には、右足を強く踏み出す事により、私なりに気剣体の一致のイメージが付き易く良く解りました。

今回の講習会では、河口俊彦範士が自ら実演しながら説明して下さり、とても解りやすく感じました。また、居合道では敵をイメージして行う事で真剣さが見ている人に伝わる事や、基本の大切さを学ぶ事ができました。

昼休憩の時に、河口範士に先輩に頂いた本にサインをお願いすると、快く書いて下さりました。この本と共に今回学んだ事を胸に、今後の居合道修行にあたりたいと思います。

 

 

(財)長崎県剣道連盟ホームページ居合道セクション掲示板より 

「居合は心の表現だ」       草場里美 遊道会(長崎)

久し振りに掲示板に書き込みしますが、昨年4月末以来ですので、随分ご無沙汰です。また、昨日、今日と居合の講習会に参加しましたが、これも昨年4月以来です。参加された皆様、たいへんお疲れ様でした。ご指導して下さいました講師の先生をはじめ、諸先生方には本当にありがとうございました。お陰でいい勉強になりました。

多少、無理してでも講習会には今後共参加しなければならないと思った次第です。あとは習ったことをしっかり身につけるようにがんばりたいと思います。いい講習会でした。
 講師の河口俊彦先生がおっしゃった「居合は心の表現だ」という言葉は我が師の常日頃おっしゃっていることで、一つ一つの技でその心を表現できるように心がけていきたいと思います。